作品を発表してから4年、振り返ってみて
橋本監督:頑張っているな、と感じますね。この作品では、自分たちの『初めて』をたくさん経験することができました実は作品を撮る少し前に、東京の映画の学校に半年ほど通っていて、映画作りを改めて学びました。独学で得てきた技術の他に、映画作りの基礎をしっかり身につけることができたので、この「作りたての家族」はこれまで培ったものを発揮する舞台となりました。脚本の書き方、カメラワーク、好きな手持ちではなく三脚を使って撮影すること、全てのことが初めてで、そんなぎこちなさや当時の自分たちの情熱や、やり切りたいという勢いを詰め込んだのがこの作品でした。
工藤(脚本):4年前に脚本を書いた時は気づきませんでしたが、主人公と母親とのやりとりが、自分と亡くなった母とのやりとり、そのまま生かされているなと思いました。『人』は表面だけで捉えるのではなく、もっと踏み込んで相手を知る大切さを訴えるシーンでは、その時はできていたつもりで、できていなかったんだなと気づかされたりもしました。
当時思わず映画の中に紛れて込んでしまった等身大の自分に、再会したような気持ちです。
授賞式でのエピソード
橋本監督:YMFの授賞式では、約300作品の応募の中、ノミネートされているのが10作品。絶対に最初には呼ばれたくないと思っていました。
なんとか最初には呼ばれませんでしたが、ホッとしたのも束の間、観客席にいる佐規子さんたちが見守る中、呼ばれたのは次の2番目。
結果は入選でした。
受賞できた嬉しい気持ちと、もっと頑張ろう!という気持ちが生まれたのを覚えています。授賞式後のアフターパーティーでは、尊敬する監督との出会いがあり、多くの刺激を受けました。
実は「作りたての家族」はYMFの他にも渋谷TANPEN映画祭にも入選していました。作品作りだけでなく、こういった授賞式などでも今までになかった、たくさんの経験をすることができたんだと改めて感じています。
きっかけをくださった皆様へ
この映画は、東北公益文化大内にあったコワーキングスペース「アンダーバー」を介して知り合った社会人や学生による実行委員会によって、制作されました。
その中心にいた三人、中村雄季さん、浦辺隼介さん、熊澤舞子さんはじめ、クラウドファンディングにご協力いただいた沢山の方々のご尽力によって作り上げることができました。
受賞できたことで、関係者の方々に恩返しができたのではと感じております。
このような機会を与えてくださった皆様に深く感謝しております。
出演者からのメッセージ
太田美恵さん(教師・母親役)
現在、ドモホルンリンクルやファブリーズのCM、映画マスカレードホテルなど数々の作品で活躍中
10周年おめでとうございます!!
参加させていただいた「作りたての家族」もう4年前になるんですね。久しぶりの鑑賞でしたが、この作品に関わってくださった方々の思いがめいっぱい詰まっていて、やっぱり あったかい映画でした。娘役の進藤悠子ちゃんは 初めての演技とは思えないほど堂々としていて、本当助けてもらいました。
これからも、沢山の方々の心に届く作品を作り続けてくださいね。またご一緒出来る日のために精進してまいります!
進藤悠子さん(娘役)
オリーブさん10周年おめでとうございます!
最初に「作りたての家族」のお話を頂いた時、私自身初めて挑戦させていただくことでもあったのでワクワクというよりも、不安でいっぱいだったことを覚えています。そして撮影が始まると太田さんの演技力に引き込まれ、気づけばあっという間に時間が過ぎていました。
オリーブさんはじめ多くのスタッフさんの温かさが今でも忘れられません。
これからの更なるご活躍を心から応援しております。
制作の裏話
佐藤 徹 さん(オリーブスタッフ)
実は撮影の前日まで脚本ができていなかったんです。撮影の一週間前から毎日徹夜で準備して望んだ撮影でした。
現場にはカメラで参加しました。振り返ると、機材が無いなりに少ない人数で頑張ったなと思います。役者さんの演技に触れられ、徹夜しても勢いで乗り切れました。上映会当日はスクリーン画面よりも観客席の反応が気になりました。綺麗に決まったすき焼きのシーンが今でもお気に入りです。
伊藤 寛文 さん(オリーブスタッフ)
割と入社してすぐの現場でした。当時は全然現場慣れしてない中、マイク・音声として参加しました。
正直、撮影が始まると無我夢中でほとんど記憶なし。ひとつ覚えているのは、セリフを庄内弁の方言で考えるのに苦労したのですが現場で全く採用されなかったことです。
上映会の大きなスクリーンで映像を見た時は、感動しました。一緒に見ていた家族とも感動を共有できました。今でも定期的に見返しています。何度見てもいいな、と思える作品です。
STORY あらすじ
父、母、香澄(17)の三人の仲の良い家族。突然の父の死がきっかけで、会話がなくなってしまった母娘。娘のために明るく振る舞う母と、父の死がまだ受けきれず悲しみ、明るい母を信じられない娘の姿があった。
ある日、香澄は当てつけのようにカンニングしようとするが、教師の明美(42)に止められてしまう。呼び出しを受け指導室で言い合う二人。明美が言いすぎたかもと落ち込んで帰宅すると、会話の場を自ら作ろうとしている香澄の姿があった。明美と香澄は教師と生徒でもあり、母と娘でもあった。言い合いをしたことで、気恥ずかしいが少し打ち解けられ母娘の溝が少し埋まった二人がいた。
POINT 見どころ
- ・インパクト大のすき焼き鍋をひっくり返すシーン
- 最初は茶碗の予定でしたが、インパクトを考えて鍋ごとひっくり返すことになりました。
- ・全員が庄内出身者
- 思春期の女の子の成長を、庄内の美しい風景の中で描きたかったので、世界観を守るため先生や生徒までオールキャスト庄内出身者にこだわった。
母と娘、先生と生徒という固定化した関係性のなかでは、時に相手のことを決めつけてしまったり、相手の心を理解する努力を怠ってしまうことがある。
そうして一度崩れてしまった信頼関係を再構築することは困難なことだが、摩擦を恐れず「一歩踏み出す勇気」を持つことで、それを乗り越えられるというメッセージを込めた。
イオンシネマ三川での試写会には約150名の観客が訪れました
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